ポリフェニレンスルフィド（PPS）は、高い剛性と高分子結晶性を持つ優れた性能、幅広い用途、卓越した特性を備えたポリマーです：
- 優れた耐熱性：熱変形温度は260℃を超え、長期使用温度は220～240℃です。空気中では700℃で分解し、不活性ガス中では1000℃で重量の40％を保持します。短期耐熱性と長期連続使用の熱安定性の両方が、現在のすべてのエンジニアリングプラスチックを上回っています。
- 本質的な難燃性：UL94V-0レベルに達することができます。難燃製品を製造する際に難燃剤を添加する必要がなく、材料自体の高い機械的特性を維持します。
- 良好な機械的特性：極めて高い剛性、高い表面硬度、優れたクリープ抵抗性および疲労抵抗性を備えています。
- 優れた耐薬品性：200℃以下でPPSを溶解できる溶剤はこれまで見つかっていません。また、無機酸、アルカリ、塩類に対して強い耐性を持っています。
- 良好な寸法安定性：成形収縮率が非常に小さく、吸水率が低く、線熱膨張係数が小さいです。高温または高湿度条件下でも良好な寸法安定性を示します。そのため、機械、化学、計器、航空宇宙などの分野で幅広く応用されています。
- 優れた電気的特性：高温、高湿度、高周波条件下でも優れた電気的特性を維持します。
- 卓越した耐摩耗性：フッ素樹脂や炭素繊維などの潤滑剤を充填することで、耐摩耗性を大幅に向上させることができます。
- 耐放射線性：線量1×10^8 Gyにおいて、他のエンジニアリングプラスチックとは比べものにならず、電子機器や航空宇宙などの分野で優れた材料です。
- PPS樹脂は非常に低い溶融粘度と良好な流動性を持ち、ガラス繊維や各種充填剤に対して容易に濡れ、接触します。これから調製されたガラス繊維または無機充填剤強化射出成形用ペレットは、極めて高い引張強度、衝撃抵抗性、曲げ抵抗性、および延性を備えています。
- PPSは、ガラス、アルミニウム、ステンレス鋼などに対して非常に高い接着強度を持ちます。ガラスに対する接着強度は、ガラス自体の凝集力よりも大きいほどです。優れた耐食性と接着性能により、化学設備のライニングを容易に製造できます。
- PPSは優れた耐食性を持つため、接着が容易ではなく、超音波溶接が最適な接着方法です。
PPS棒材の主な応用範囲
電子・電気分野におけるPPS：マイクロエレクトロニクス部品のパッケージング、コネクター、端子、ソケット、コイルボビン、トリマーコンデンサー、ヒューズベース。機械・計器分野におけるPPS棒材：ポンプケーシング、ポンプインペラー、ベアリング、ギア、プーリー、ユニバーサルジョイント、ガスケット、フランジ、カウンター、水準器、流量計部品。自動車分野におけるPPS：温度センサー、キャブレター、パージ装置、燃料ポンプ、シートベース、ウォータータンクチャンバー。家電分野におけるPPS棒材：扇風機、電子レンジブラケット、乾燥機、コーヒーメーカー、炊飯器、ヘアドライヤー、ヘアカーラー、エアコンコンプレッサー。PPS繊維およびフィルム：他の合成繊維と混紡したPPS繊維は、高性能工業用フィルタークロスや耐放射線性の航空宇宙用ファブリックの製造に使用できます。PPSフィルムは優れたFクラス絶縁材料であり、コンデンサー、インピーダンス電子部品、フラットコイルボビン、電線被覆、マスク、キャブレーターダイアフラム、感熱印刷材料、フロッピーディスク、電子写真用感光ストリップなどの製造に使用できます。